Golden Hour
"Golden Hour"
それは、昼と夜の境目。日が沈み、影が見えなくなる。しかしながら、彼方遠方で微かに残った陽の光が、闇と交じり合い、微かな光を街にもたらす。
夕焼けは美しい。でも、沈む夕日を見てしまうと、それでなんとなく満足してしまう。もちろん美しい夕焼けも好きだけど、日が沈んだあと、夜の闇が街を覆うまでの、その僅かな瞬間が、最近はたまらなく好きだ。
以前、何かで、「#000000というのは、現実世界にはほとんど存在しない」というのを読んだことがある。日が沈んだあとの短い時間に、僕達が見ることができるのは、きっと昼間の空の青さを飲み込んだ、青みがかった黒だ。昼間の光を飲み込んだ闇は、決して#000000にはならない。西の空に沈んでいき、それでもなお光を放ち続ける太陽の明るさや、街のネオン、遠くに浮かぶ月や星、そういったものに照らされながら、夜の闇は時間時間でその色を変えていく。
完全なる光が存在しないのと同じように、完全なる闇もこの世には存在しない。
最近はそんなことをよく考えつつ、光と闇が交わる時間の写真をたまに撮ったりしている。