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日記など。

new era

1995年、小沢健二は「カローラIIにのって」というシングルをリリースした。小沢健二は作詞にも作曲にも関わらなかった曲だが、皮肉にもこの曲は小沢健二のナンバーワンヒットシングルとなる。

 

 

1995年。

 

僕は小学校にも入っていなかった。何の面白みもない地方都市。たぶん、そのときはたくさんの人がカローラIIに乗っていて、車でちょっと出かけて、幸せな休日を過ごしていた。

 

 

10年近くの時が過ぎ、今は2014年。

 

 

東京に住んでいると、カローラに乗って恋人と幸せな休日を過ごすという、「ごく普通」の生活すら、一握りの成功者しか手にすることができないものなのではないかと、漠然とした不安感を抱いてしまう。

 

 

僕たちが「普通」だと思っていたこと、日本人が語ってきた物語の中で「普通」だと言われてきたこと。そういったものが、上澄みの中の上澄みの、ある意味特権階級しか手にすることのできないものだと、人々は気づきつつある。仕事をして、夜には家に帰って、家族と過ごして、休日には愛車でドライブする…そんな、「普通」の生活を送ることができる人間は、現代の日本において極めて少ない。

 

 

僕が子どもだったころと、大人になった今。たぶん、色々なことが変わってしまっている。高度経済成長が終わってもなお資産やブランドを持つことがステータスだった時代と、ものをシェアし、ユニークなライフスタイルが肯定される時代へ。

 

 

経済成長は終わった。資本主義の象徴のようなビルに飛行機が突っ込んだ。確実なものなど何もないという感覚が支配する時代になっている。

 

 

でも僕らは生きていくしかない。毎日を工夫して。工夫するために、インターネットがある。Googleが世界を変えたんだ。お金をかけなくても、僕らは情報だけは無限に手に入れることができる。無限の選択肢の中から、自分らしく、豊かな生活を選ぶことができる。

 

 

車とか家とか、そういうわかりやすい資産で人のステータスが決まるといったような価値観は、たぶんまだ地方には生きている。でも、それもちょっとずつ変わりつつあるし、僕はそういった価値観の中で生きていくことはできないなと感じていたりもする。

 

 

新しい時代。それはけっしてバラ色のものではない。でも、僕らは新しい時代に生きていくしかない。その中で何ができるだろうか。その中で幸せをつかめるだろうか。