chilly
肌寒さ、という感覚が昔から好きだった。真冬の凍えるような寒さではなく、例えば、「もう一枚だけ薄手の羽織るものがほしいかな」というような、耐えられないことはないような、寒さ。
そういう感覚を感じることができる季節が好きだ。秋が少しづつ近づいてきて、一瞬吹いた風を受けて感じる肌寒さ。そして、梅雨の中休みの今、夜中に外に出て、ふとした瞬間感じる肌寒さ。昼間はあんなに力強い日差しの中で汗をかいていたというのに、夜になるといつのまにか、ぐっと気温は下がっている。
肌寒い夜に話した色々なこと。考えた色々なこと。その時立っていた場所。色々なことを、色々な形で思い出す。肌寒い時期というのはいつも、何かに悩んだり、何かに一生懸命になっていた時間だった気がする。
夏が近い。でも真夏は、まだほんの少し遠い場所にある。
梅雨の中休みが終わればまた、服が雨と汗に濡れ身体にまとわりつく、鬱陶しい季節が続いていく。でも今は、もう少し、もう少しだけ、夏には届かない。
願わくば、今年も良い夏が来ますように。