gezellig

日記など。

reccuring nightmare

心が弱ったときに見る・するあれこれみたいな情報が今日もネットには溢れかえっている。心なんて随分と前から弱りっぱなしで、そんな人間に対する救済なんていうものはなかなか簡単に見つかるものではない。筋トレやランニングはダメだ。単純な反復作業を繰り返す中でどうしても余計なことを考えてしまう。最近は唯一フットサルをやっているときだけが余計なことを考えなくて済む。パスをもらうその瞬間、どこにボールを持ち出すのが最適か。細かいタッチがいいのか、大きく持ちだすのがいいのか。あるいはワンタッチでパスを出すのがいいのか。足元のボールに対して、脚をどんな角度で、どんな速度で振ったら、目指す位置にボールを飛ばすことができるのか。キーパーが取れないシュートを打つために、どこにボールを置いて、どんなキックをすればいいか。サッカーやフットサルというのは常に無数の可能性の中から最適解を選ぶゲームであり、その複雑性の中に身を委ね、目の前のプレーに集中することで、束の間、他のことを考えなくて済む。

 

 

どこを見渡しても喪失しかない。進むべき方向性も、大切にすべきものも、何もかも見失ってしまったような感覚だ。暗い部屋でコーヒーをすすって青々とした光を放つパソコンのディスプレイに向かう。何の生産性もないけれどぐちゃぐちゃとした思考を文章にまとめて書き殴るのはそれはそれで気を紛らわすことになる。自分には何もない。仕事がうまくいこうがそれがどうした。仕事に打ち込んで何になる。それが将来の何につながる。そこからつながる将来に、どんな意味がある。今までの人生の中で築いてきた、いろいろな人とのつながりや、これまで頑張って身につけてきたいろいろなことを、すべて捨て去って、どこか知らない場所に行くことができたら、どんなにいいだろうと思う。でもけっきょくそんなことをする勇気もなくて、どうせこのまま仕事を続けたらそれなりの成功を手に入れて、どこかのタイミングで幸せな家庭でも築いて、それなりに幸せな人生を送るんだろうなと思う。

 

 

大切にしていた気持ちはどこにいった。そんなものは果たして最初から、あったのだろうか。期待を裏切り、人を傷つけ、自分を傷つけ、最低な気持ちで日々を送っている。そうやって過ごすことで少しでも自分の気持ちを満足させることができたらいいのに、どうやったって、自己嫌悪を繰り返すだけだ。ひとときの満足を得るためなら酒を飲めばいい。ひとときの満足すら得ることができないような言動を繰り返して、何度も何度も後悔して、なんでそういうふうにしか生きていくことができないんだろうと、沈んでいく。

 

 

Where are you?
And I'm so sorry
I cannot sleep
I cannot dream tonight
I need somebody and always
This sick strange darkness
Comes creeping on so haunting every time

 

 

春の夜の闇は街をやさしく包む。街灯に照らされた花は夜もなお生き生きと、可憐でいて妖艶な姿を見せ、その美しさに胸が詰まるけれど、僕はその薄桃色の花の名前さえ知らない。二人で歩きながら、道端の花の名前を次々と言い当てた人のことを少しだけ思い出す。日曜の夜はこんなにも平和で、家路を急ぐ人たちもどこか心地よさそうにしているというのに、それに対比されるように自分の心の闇が浮き彫りになる。その闇は、このやわらかな夜の闇とは違った色をしている。それは濁っていて、ふれたらチクチクとするような刺々しさと、悪意を持っていて、身体を内側から侵食していく。視界にはぼんやりとした靄がかかり、皮膚の感覚は鈍く、思考は遅い。歩いても、脚が動いているという感覚がなく、ふわふわと空中を浮いているような感覚だ。でもそれは心地よいものではなく、地に足がつかないもどかしさ、むず痒さが、またしても少しずつ、心を傷つけ、むかむかとした吐き気が身体の奥の方でぼんやりと湧き上がってくる。何もかもが面倒で、気だるく、家に帰っても死んだようにベッドに横たわることしかできない。ああいま僕は生きていようが死んでいようが変わらない状態だ、と気づくと、さすがに少し起き上がって皿を洗ったり、洗濯物をしたり、掃除機をかけたりしてみる。どんなに深く、暗く切ない感情に胸を切り裂かれていたとしても、そうやってどす黒い血をダラダラと流したままだとしても、食べて寝て普通に生きていくことだけは続けないといけない。繰り返し感じる痛みはいつか麻痺していく。痛みは痛みとしてそこにあり、対峙する自分の感覚だけが腐っていく。それはけっして、時間がすべてを洗い流してくれるだとか、そんなきれいなことではなくて、ただただ、自分の中の何かが、少しずつ崩れていくのを傍観しているような気分だ。抑えている感情はふとした瞬間に爆発し、人並みに生きたい、人並みに生きたいと、誰の耳にも届かない咆哮を上げる。