gezellig

日記など。

Songs

中学生とか高校生の頃は、かっこつけて洋楽とか日本のインディーズバンドの音楽ばかり聴いていた。大学になって留学をしたとき、ふと日本の音楽が恋しくなって、昔の、といっても90年代くらいのものだけど、そういった音楽を聴くようになっていった。帰国した後、映画「モテキ」を見て、日本のサブカルの素晴らしさを再発見したりもした。

 

思うに、留学という行為は、日本人としての自分のアイデンティティを再構築するものでもあった。留学したことによって「素晴らしい日本」「美しい日本」に気づき、日本至上主義者になる人もけっこういたりするけれど、僕はそれとはちょっと違くて、

 

「結局人は世界中どこでも生きていけるし、どの国にも素晴らしい歴史と文化があり、どこが優れているとか劣っているとか考えるのは馬鹿らしいことだ。でも、僕自身が日本で生まれ育って、日本人として生きてきていることは、変えられない事実だ。」

 

 

というようなものだった。だから僕にとって日本語は当然外国語以上に大切なものだし、日本の文化を軽視する理由はどこにもないな、と思ったりもした。

 

 

蛇足になった。

 

日本語の歌詞は、すっと心に染みこんで、時に僕らを勇気づけたり、心を揺さぶったりする。そんな中で、特に、今の僕にとって大切な曲をいくつか紹介したい。

 

 

くるり - ばらの花


くるり - ばらの花 at Fuji Rock '08 - YouTube

 

もう何度聴いただろうか。近づきたいのに近づききれない、その微妙な悲しさとか、ぎこちなさとか、自分への言い訳とか。そういったものが優しいメロディーに乗ってくる。雨が降ったり、最終バスを逃したら、会えない。きっと、本当はそんなことないんだろうけど、今の状況に甘んじて、それを言い訳にしてしまう。

 

でも少しほっとして

飲み干したジンジャーエール

気が抜けて

 

 

 

Drive - スーパーカー


SUPERCAR / DRIVE - YouTube

 

シューゲイザー的なギターロックというのが一般的なスーパーカーの印象だけど、だからこそ際立つ、シンプルで、ピュアで、美しい、奇跡のような一曲。苦しいときとか、どうでもよくなってしまったとき、この曲を聴いて青空を見上げる。

 

ねえ、こんな日は一緒に空を眺めていよう。

ねえ、そんな目じゃあきっと涙しか見えないよ。

 

 

 

小沢健二 - 愛し愛されて生きるのさ


【PV】 小沢健二 愛し愛されて生きるのさ - YouTube

 

人の心は弱く、大人になったとしてもずっと安定したままなんてことはない。傷ついたりもするけれど、それでも人生は希望に満ちている。小沢健二の曲は、ハッピーだ。繊細な心が抱える悩みを、底抜けに明るいメロディーに乗せて歌う。それが、なぜか泣けてくる。

 

10年前の僕らは胸をいためて「いとしのエリー」なんて聴いてた

ふぞろいな心はまだいまでも僕らをやるせなく悩ませるのさ

 

 

 

岡村靖幸 - カルアミルク


岡村靖幸 カルアミルク - YouTube

 

ファミコン」とか「ディスコ」っていう言葉はどうしようもなく80年代~90年代的で、だけど、なんというか、この「きちんとできない感」というのはいつの時代だって胸を打つものなのではないか。カルアミルクを飲んで赤くなってた頃というのは、それが直接的にはカルアミルクでなかったとしても、誰にでもある。

 

あの頃の僕はカルアミルク飲めば赤くなってたよね

今なら仲間とバーボンソーダ飲めるけれど

本当はおいしいと思えない

 

 

 

Walk Slowly - スーパーカー


Walk Slowly - SUPERCAR - YouTube

 

人は傷つき、傷つけあいながら生きていく。誰かと同じなふりをして、その中で誰かを出しぬき、傷つける。人間はそういうずるい生き物だ。でも、そうやって生きていくしかない。それは絶望でもあるけれど、同時にそこに気づくことで見えてくる希望もあるんじゃないか。そんなことを考えたりする。

 

誰かの涙が誰かの誰かの罪になるように

あなたの何かは誰かを傷つけるのに

傷つけたのに、気付けないの?

 

 

 

スネオヘアー - ウグイス


Suneohair - Uguisu (Album version) - YouTube

 

ちょっと斜めからものを見ながら、スネオヘアーはやさしく、愛や希望を歌う。軽やかで、やさしくて、そしてほんの少しだけ憂いや劇場をエッセンスを加えて。

 

ウグイス色の香りの中ほら

君が歩き出す世界

遠くないその手を握り返したら

いつか瞳の中に溢れてる

 

 

 

アジアン・カンフー・ジェネレーション - 今を生きて


Ima Wo Ikite 今を生きて - Asian Kung-Fu Generation [SUB ...

 

生への肯定。今を生きる歓び。軽快なメロディーと、晴れやかな演奏。これ、聴くたびに、大学時代が懐かしくなる。もしかしたら、この歌で歌われているような肉体の躍動は、長い人生の、若いほんの一瞬の期間しか感じ取れないものかもしれないな、と少し思った。世界へ駆け出す、そのときに聴いていたい曲。

 

酔ってまた君の名を呼んで

空っぽになって転げ回る

目が覚めて

夢のようなこの日々よ

消えるまで

 

音楽だけで人生は決まらない。でも、音楽は人生に彩りを与えてくれたり、背中を押してくれたり、慰めてくれたりする。そんなことを、最近は今まで以上に、感じている。