Summer
夏だな、と思っているうちに夏はいつも終わっていく。
台風が近づいた週末、夜の空気は寒いくらいだった。
明日から、またうだるような暑さの中で、ヒートアイランドの中で、ビルとビルの間を行き来しないといけない。夏はまだまだ全然、終わっちゃいない。
それでも、きっと、いつの間には夏は終わっていくんだろう。そういえば、いつの間にか8月10日。もう少ししたら、8月も半分が終わる。実家の近くの海ではクラゲが出るようになって、少しずつ、秋が近づいてくる。
長いように見えて、実は短い。だからこそ、夏の記憶は尊い。夏の海、夏の空。本当の意味での夏の風景を見ることができるのは、ほんとうに限られた、わずかな期間だけだ。
夏になるたびに、「このまま、夏を満喫できないような生活を続けていて、いいのだろうか?」とよく考える。夏の到来を心待ちにして、夏の間踊り狂うパーティーピーポーではない自分に対して、それでいいのかってよく思う。そうなりたいと、心の底から思っているわけではない。でも、スーツに身を包み、毎日毎日暑さにうんざりしながら生きているよりは、浜辺でイケイケな気持ちで夏を過ごす方が、何倍も健全だとは、よく考える。考えたって、そうなれるわけではないのに。
今の僕にできるのは、「夏っぽい」ことを記憶に留めておくことだけだ。
雨が止んで、もう少しで夜が来る、夏の夕空。なんだかとてもいいなと思った日曜日だった。